【バウンダリー的声掛け】お友達におもちゃを取られたら

子ども同士のおもちゃの取り合いは日常茶飯事。

そんな時みなさんは、「いいじゃない、貸してあげたら?」とか、「もうたくさん遊んだじゃない。貸してあげなさい。こっちの(別の)おもちゃで遊んだら?」などと声をかけ、ケンカに発展しないように先手を打っていませんか?
自分の子どもが遊んでいるおもちゃを取り上げて、他の子に貸してしまうことはありませんか?

実は私も、自分自身の子育て中はそのように話しかけ、譲ってあげること、我慢できることはいいことだ、と教えていました。そして、「貸してあげられたね!我慢できたね!えらいね!」と。

ではここで、子育てセミナーで学ぶ、バウンダリー(心の境界線)について少しお話ししましょう。

 

バウンダリーの機能

バウンダリーはごく簡単にいって、自分自身を他者と区別して考えることですが、それには機能があります。それは、

  1. 良いものを入らせ、悪いものを入らせない。
  2. 私の宝物を大切にする。
    他の人の宝物を大切にする。
    自分自身を愛し、隣人を愛す。

というものです。

しかしこれは、自己中心や、わがままになることとは違います。

ひとりひとりが(子どもだけでなく、もちろんあなた自身も)、高価で尊い存在であり、だれとも比べることができない大切な存在だ、ということです。

 

所有のバウンダリー

そして、お子さんが小さいときに形成されるのが「所有のバウンダリー」です。

  • 私の大切なものは、人に奪われたり、傷つけられてはいけない。
  • 私自身も他者から傷つけられてはいけない。
  • 私も他の人の大切なものを傷つけたり、奪ったりしてはいけない。

このような大切なことを学んでいく時期です。生活を通して、家庭の中でトレーニングしていくことができます。

 

子どもに代わって「ノー」を言おう

では、立ち戻って、おもちゃの取り合いにはどのように声をかけて、所有のバウンダリーの形成を促したらよいでしょうか?

先述の声かけでは、

赤ちゃんにとっては、自分で楽しく遊んでいるおもちゃを(勝手に)取られ、なくなっちゃった。悲しい。という現実があるだけで、親御さんの言葉は理解できません。

そして、自分の大切なものは奪われる、だからお友達の大切なものも奪ってもかまわない、自分は大切ではない、ということを体験し、学んでしまうのです。

こんなとき、バウンダリーではこのように声掛けします。

「これは、今、僕、私が遊んでいるよ。だから、もう少し待ってね。次に貸してあげるね。」

「これは今遊んでいるから貸せないよ。その代わり、これはどう?(他のおもちゃを提案)」

と、お子さんの大切なものを守るために、親御さんが「ノー」を言ってあげます。そして、お友達の気持ちも尊重する声掛けをしてみてください。

もちろん、お友達も言葉が理解できないので納得しません。怒って泣くことも多々あるでしょう。相手の親御さんもいらっしゃるし、ハラハラしてしまうかもしれません。でも、いいんです。

この繰り返しによって、自己中心にならず、自分でも「ノー」が言えるようになり、他のお友達のことを思いやる心が育っていきます。

状況が許せば(これが難しい。なかなか言える雰囲気ではない場合もありますよね)、実践してみてください。

 

おやこDE広場 旭町

おやこDE広場 旭町は、Jワールドが松戸市より業務委託を受けて運営しており、スタッフもバウンダリーを意識して声掛け、見守りを行っています。よかったら実践の場として、お子さんと安心して遊びにきてください。お待ちしています。

子育てセミナー講師 三浦輝江

 

【関連リンク】

おやこDE広場 旭町|松戸市子育て情報サイト 松戸DE子育て