子ども同士のおもちゃの取り合いは日常茶飯事。
そんな時みなさんは、「いいじゃない、貸してあげたら?」とか、「もうたくさん遊んだじゃない。貸してあげなさい。こっちの(別の)おもちゃで遊んだら?」などと声をかけ、ケンカに発展しないように先手を打っていませんか?
自分の子どもが遊んでいるおもちゃを取り上げて、他の子に貸してしまうことはありませんか?
実は私も、自分自身の子育て中はそのように話しかけ、譲ってあげること、我慢できることはいいことだ、と教えていました。そして、「貸してあげられたね!我慢できたね!えらいね!」と。
ではここで、子育てセミナーで学ぶ、バウンダリー(心の境界線)について少しお話ししましょう。
バウンダリーの機能
バウンダリーはごく簡単にいって、自分自身を他者と区別して考えることですが、それには機能があります。それは、
- 良いものを入らせ、悪いものを入らせない。
- 私の宝物を大切にする。
他の人の宝物を大切にする。
自分自身を愛し、隣人を愛す。
というものです。
しかしこれは、自己中心や、わがままになることとは違います。
ひとりひとりが(子どもだけでなく、もちろんあなた自身も)、高価で尊い存在であり、だれとも比べることができない大切な存在だ、ということです。
所有のバウンダリー
そして、お子さんが小さいときに形成されるのが「所有のバウンダリー」です。
- 私の大切なものは、人に奪われたり、傷つけられてはいけない。
- 私自身も他者から傷つけられてはいけない。
- 私も他の人の大切なものを傷つけたり、奪ったりしてはいけない。
このような大切なことを学んでいく時期です。生活を通して、家庭の中でトレーニングしていくことができます。
子どもに代わって「ノー」を言おう
では、立ち戻って、おもちゃの取り合いにはどのように声をかけて、所有のバウンダリーの形成を促したらよいでしょうか?
先述の声かけでは、
赤ちゃんにとっては、自分で楽しく遊んでいるおもちゃを(勝手に)取られ、なくなっちゃった。悲しい。という現実があるだけで、親御さんの言葉は理解できません。
そして、自分の大切なものは奪われる、だからお友達の大切なものも奪ってもかまわない、自分は大切ではない、ということを体験し、学んでしまうのです。
こんなとき、バウンダリーではこのように声掛けします。
「これは、今、僕、私が遊んでいるよ。だから、もう少し待ってね。次に貸してあげるね。」
「これは今遊んでいるから貸せないよ。その代わり、これはどう?(他のおもちゃを提案)」
と、お子さんの大切なものを守るために、親御さんが「ノー」を言ってあげます。そして、お友達の気持ちも尊重する声掛けをしてみてください。
もちろん、お友達も言葉が理解できないので納得しません。怒って泣くことも多々あるでしょう。相手の親御さんもいらっしゃるし、ハラハラしてしまうかもしれません。でも、いいんです。
この繰り返しによって、自己中心にならず、自分でも「ノー」が言えるようになり、他のお友達のことを思いやる心が育っていきます。
状況が許せば(これが難しい。なかなか言える雰囲気ではない場合もありますよね)、実践してみてください。
おやこDE広場 旭町
おやこDE広場 旭町は、Jワールドが松戸市より業務委託を受けて運営しており、スタッフもバウンダリーを意識して声掛け、見守りを行っています。よかったら実践の場として、お子さんと安心して遊びにきてください。お待ちしています。
子育てセミナー講師 三浦輝江
【関連リンク】
>おやこDE広場 旭町|松戸市子育て情報サイト 松戸DE子育て